こんにちは。名古屋の事務所で弁護士をしております加藤です。
今回は、日本と韓国の祭祀承継についての判断の違いについて説明しようと思います。
1 日本
・・・(続きはこちら) こんにちは。名古屋の事務所で弁護士をしております加藤です。
今回は、日本と韓国の祭祀承継についての判断の違いについて説明しようと思います。
1 日本の場合
いわゆるお墓や仏壇など祖先を祀るための祭祀について日本では、民法897条1項で、祭祀承継者は被相続人の指示に従って決められ、その指示が無ければ慣習に従って先祖の祭祀を主宰すべき人が決められることとなっています。
そして、指示も慣習もない場合には、民法897条2項で、家庭裁判所によりその承継者を決めることとなっています。
家庭裁判所が判断する場合の考慮要素としては、以下のように判断しています。
「承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係、承継候補者と祭具等との間の場所的関係、祭具等の取得の目的や管理等の経緯、承継候補者の祭祀主宰の意思や能力、その他一切の事情(例えば利害関係人全員の生活状況及び意見等)を総合して判断すべきであるが、祖先の祭祀は今日もはや義務ではなく、死者に対する慕情、愛情、感謝の気持ちといった心情により行われるものであるから、被相続人と緊密な生活関係・親和関係にあって、被相続人に対し上記のような心情を最も強く持ち、他方、被相続人からみれば、同人が生存していたのであれば、おそらく指定したであろう者をその承継者と定めるのが相当である。」
つまり、①身分関係などの生活関係、②祭具の場所的関係、③祭祀管理の経緯、④祭祀承継者候補者の意思、⑤その他の要素を総合考慮して判断されることとなっています。
2 韓国の場合
韓国では祭祀を主宰する者が承継することとなっていますが、その「主宰する者」については明確に規定されていません。
韓国はかつて、宗孫(長男の系統)が一般に先祖の墳墓を守護・管理する者であるから、宗孫でない者が祭祀主催者となるためには、宗孫に祭祀主催者の地位を維持することができない特別な事情が認められなければならないとして、原則として、宗孫が取得することとした判例が存在した(大法院1997年9月5日等)。
しかし、大法院2008年11月20日の全員合議体判決によってその判例を変更した。
つまり、祭祀主宰者は優先的に亡き人の共同相続人らの間の協議によって定められるべきであるが、協議が成立しない場合には特別な事情がない限り亡き人の長男(長男がすでに亡くなっている場合には長孫子)が祭祀主宰者になり、共同相続人らの中で息子がいない場合には亡き人の長女が祭祀主宰者になると判断した。
つまり、原則を協議とし、整わない場合に長男ないし長女が祭祀主宰者となると判断がなされた。
しかし、当該判例には反対意見も付されており、結局長男長女が優先されるとの判断については異論も多いようです。
韓国の家事訴訟法では祭祀主宰者の決定について独立した家事事件とはできませんが、遺体の管理等に関して相続人間で争いがあるものとしてその裁判の前提として判断することもあります。
本日はここまでとさせていただきます。
また、次回に。