こんにちは、弁護士の加藤靖啓です。
今回は、前回の記事の続きとして、韓国籍の方の相続について、遺産から生じた果実の取り扱いについて解説します。
・・・(続きはこちら) こんにちは、弁護士の加藤靖啓です。
今回は、前回の記事の続きとして、韓国籍の方の相続について、遺産から生じた果実の取り扱いについて解説します。
1 日本の場合
日本の場合、裁判例で原則相続財産とは別個の共同相続人の共有財産であり、遺産分割では処理するものではないものとしてされています。
ただし、相続人の合意があれば、遺産分割の対象として遺産分割の対象として処理することができるとしました(東京高決昭和63年1月14日)。
つまり、賃貸マンションが相続財産となっていたときに、被相続人がなくなってから遺産分割協議が行われるまでの賃料についても遺産分割協議の対象としてどの相続人が取得するかを決めることができます。
2 韓国の場合
⑴ 大法院の判断
韓国の大法院(日本の最高裁判所にあたる機関)は、原則論については、日本と同じ判断をしています。
つまり、韓国民法1015条1項で、相続財産分割(遺産分割)に遡及効を認めはするものの、相続開始後遺産分割終了時までに生じた賃料収入等の遺産の果実については、相続人らが相続分に応じて取得する共有財産であり、遺産とは別個の性質を有するものと解し、相続財産には該当しないとの立場をとっています。
⑵ 実務上の取り扱い
一方で、実務上では、そのような原則を徹底すると、一挙解決を望む相続人の希望に沿うことができなくなりますので、柔軟な解決が認められているようです。
つまり、日本と同様に、相続人間の合意があれば、分割対象として遺産分割の中で解決がされているようです。
また、韓国の下級審裁判例においても「共同相続人ら全員が相続財産の果実を含み紛争を一挙に解決するのに異議がなく、また現実的に紛争の効率的な解決が期待できる等の特別な事情がない限り、原則として相続財産分割の対象とはならず、共同相続人らは共有物分割又は不当利得返還等の民事上の請求で自身の相続分に相当する部分の支払いを受けることになる」として、共同相続人の合意があれば、相続開始後に発生した果実についても分割の対象になりうることを認めています。
本日はここまでとさせていただきます。
また、次回に。