こんにちは、名古屋の事務所で弁護士をしています加藤です。
今回もまた前回の続きとして韓国籍の方の相続について説明したと思います。
今回は、韓国の相続
・・・(続きはこちら) こんにちは、名古屋の事務所で弁護士をしています加藤です。
今回もまた前回の続きとして韓国籍の方の相続について説明したと思います。
今回は、韓国の相続法における相続分の譲渡と取戻し権について説明したいと思います。
1 相続分の譲渡
韓国の法律でも、日本の法律でも、相続人は、遺産分割協議前であれば相続人かそうでないかに問わず、別の誰かに対し、相続分を譲渡することができます。
相続分の譲渡を受けた人は、その譲渡を受けた割合の限りで相続人としての地位を承継し、相続財産を取得する立場を得、また義務を負います。
ただし、この時原則として相続分を譲渡したとしても、債権者の許可がない場合は譲渡人に対しても依然債務の弁済を求めることができますので、債務を免れる方法としては使えません(債務を免れるためには、相続放棄か限定承認の手続が必要になります。)。
また、相続分の譲渡について裁判所等別の第三者の許可を得ずとも相続分の譲渡は可能で、特に書面等もなく、書面を作り行う場合も、定まった形式はありません(前述のとおり、譲渡人が債務の免除を受けて相続分譲渡を行う場合は、債権者の許可が別に必要となります。)。
2 取戻件について
相続分の譲渡を相続人以外の第三者に行った場合、韓国も日本も他の相続人は、単独で、その譲渡を受けた人に対し、その価格と譲渡費用を償還することで、その相続分を弓弦受けることができます。
相続人でない第三者に相続分が移動することで、相続手続きが煩雑化するのを防ぐためとされています。
この取戻権は、韓国も日本も形成権と解されており、相続人がこの権利を行使し、必要な費用を償還すれば、譲受人の合意や金銭の受取の有無に関わらず、効力が生じます。
取戻権を複数いる相続人の内1名が単独で行使した場合に、その譲られていた相続分のの帰属については、韓国も日本も具体的に法律で定めれれていませんが、権利行使しなかった人に取得させる理由は特にない以上、いずれもその権利行使をした者に帰属するというのが、主流のようです。
しかし、この取戻権については、韓国と日本では差異もあります。
韓国では、特にその権利行使時期について定めはなく、相続分譲渡がなされ、遺産分割協議が行われるまでの間であれば、基本的にいつでも行使できるものとされています。
一方、日本では、「1箇月以内に行使しなければならない」と定められており、権利行使に制限が課せられています。
この一箇月についての起算点については、争いがありますが、主流の考え方は「譲渡時から1箇月以内」と考えられているようです。
大切な相続分の取戻権について権利行使ができる期限に差異がありますので、韓国籍の方がいる相続についての適用法令の判断には慎重になる必要があります。
次回についても、日本と韓国における相続の違いについて説明したいと思います。