韓国籍の方の相続(預貯金債権の取り扱い)
こんにちは、名古屋の事務所で弁護士をしています加藤です。
今回は韓国籍の方の相続について説明したいと思います。
今回は、韓国籍の方が銀行にお金を預けていた場合に、その預貯金の相続手続き上の取り扱いについて説明したいと思います。
1 日本の場合
日本の場合、可分債権(分けることのできる債権)については、原則的に法定相続分に従って当然に分割され、各相続人が行使することができます。
ただし、預貯金債権については、実質的に現金と同じ扱いがなされていることなどを考慮し、可分債権のように当然に分割されるものではなく、遺産分割協議を行わなければ相続人は行使すること(預貯金を引き出すこと)はできないこととなっています(平成28年12月19日最高裁判決)。
2 韓国の場合
⑴ 大法院の判断
これに対して韓国の大法院(日本の最高裁判所にあたる機関)は、日本とは異なる判断をしております。
つまり、韓国民法1013条1項では、「共同相続人は、何時でも、その協議で相続財産を分割することができる」とはするものの、金銭債権のように給付の内容が可分な債権が共同相続された場合には、相続開始と同時に当然に法定相続分に従い、共同相続人に分割して帰属すると判断しています。
つまり、日本における預貯金債権のような例外的は基本的にはなく、遺産分割協議の対象にはならないと判断されています。
⑵ 実務上の取り扱い
一方で、実務上のよりでは、相続人全員の同意のもとで、分割の対象としている場合が多いようです。
また、異議のある相続人がいる場合は、金融機関を相手方として預貯金債権のうち当該相続人持分について権利行使を行う場合もあるようです。
とはいえ、被相続人の国籍によっては、預貯金債権の取り扱いについて原則が異なることがあるということには注意が必要です。
遺産分割の見込みなどにも影響があるところですので、遺産分割協議前に確認したいところです。
本日はここまでとさせていただきます。
次回もまた。


