相続放棄後の財産管理について(誰に渡せばいいか?)
こんにちは。名古屋で弁護士をしています加藤靖啓です。
本日は、弁護士業務を行う中で、一般の皆さんも知りたいのではないかと思われる事情について共有できればなと思います。
相続放棄の業務を行い、無事相続放棄が認められた後で、「被相続人(亡くなった方)の財産を預かっているのだけれどどうすればいいのか。」となることがあります。
これは、相続放棄をした元相続人から出ることもあれば、被相続人の住んでいた借家の大家からも質問が来る場合があります。
これについては、原則として、相続放棄が認められた場合には、次順位の相続人(子が放棄をしたら、親、親が放棄をしたら兄弟)の財産になりますので、その人に引き渡すことになります。
ただし、問題となるのは、そうした相続放棄が数珠つなぎに次順位の相続放棄が認められ、相続人が誰もいなくなってしまった場合です。
このような場合には、被相続人の財産の管理をどのようにすればいいのかが問題となります。
まず、このような相続人が不明(不存在)となった財産は、「法人」となることになります(民法951条)。
そして、この財産の管理を行うものは誰かとなると、利害関係人又は検察官の請求によって家庭裁判所が選任する相続財産清算人の手によって管理され、清算されます。
被相続人の財産を預かっている人は、この清算人に引き渡すことで管理状態を解消できます。
相続放棄をした元相続人も、相続放棄をしたら、全ての責任を逃れるわけではなく、被相続人の財産を占有している場合は、相続財産清算人に引き渡すまでの間は、保管の責任を負うこととなっています(民法940条1項)。
この場合の「保管」とは、被相続人の財産の現状を滅失させ、あるいは損傷する行為をしてはならないという範囲で責任を負うこととなり、自己の財産におけるのと同一の注意義務(注意義務の程度としては軽め)の注意義務に反する場合は、損害賠償請求を受ける場合もありますので、相続放棄をした人も注意が必要です。
本日はここまで、次回も放棄時の財産管理についてお話できればと思います。
それでは、また次回に。