外国国籍の相続人がいる場合の遺産分割協議書
こんにちは、弁護士の加藤靖啓です。
本日は名古屋で多くの相続案件を取り扱う中で、調べた内容についてご紹介したいと思います。
前回は、海外在住の日本人がいる場合の遺産分割協議書に必要な書類について日本大使館や領事館で作成できる「署名証明書」についてご紹介いたしました。
今回は、そもそも日本国籍でない相続人の場合に必要となる書類についてご紹介いたします。
そもそも、外国国籍を有する相続人がいるような国際相続について、日本では「相続は、被相続人の本国法による」(法の適用に関する通則法36条)としているため、被相続人(亡くなった人)が日本国籍であるのであれば、日本国籍でない相続人を含めて、一般の相続と基本的に同じ手続きとなります。
そして、日本国籍を有していない場合に、印鑑証明書の代わりに本人の意思確認に用いられるものとしては、「サイン証明」があります。
これは、海外在住の日本人が日本大使館や領事館で作成するものと同じですが、これは現地の公証人またはそれに類似する機関に依頼して作成することになります。
また、そのサイン証明については、現地の言葉で書かれる場合がほとんどですので、それを日本の金融機関や公的機関等に提出する際には、サイン証明に翻訳文を添付するように求められる場合がありますので、事前に準備しておく必要があります。
他に、遺産分割協議書を使って進める相続手続きには、相続関係を示すことがほぼ必須といってもいいのですが、外国国籍の相続人では戸籍によって相続関係を証明することが困難です。
そこで、戸籍の代わりとなる書類として、その国の出生証明書や婚姻証明書、あるいは「相続人であること宣誓供述書」を公証人に作成してもらうなどの方法があります。
以上の簡単な説明でも分かるとおり、外国国籍を有する相続人がいる場合の手続は日本国籍のみの場合と比べて必要とされる書類が異なる点が多い場合があります。
そこで、そのような方がいる場合の相続手続きについては、より一層注意深く行う必要があり、専門家へご相談されるとよいでしょう。
次回は、海外在住者がいる場合に利用する「署名証明書」について注意するべき点についてご紹介させていただければと思います。
では、また次回。